なぜカスタマーサクセスが失敗してしまうのか?成功に導く5つのポイントを解説!

カスタマーサクセスの取り組みを開始したものの、思うような結果が出ない、社内で理解や協力が得られない、といった困難に直面している企業も少なくないでしょう。限られたリソースを投入するからには、担当者は成果を得られる活動にしたいと考えていると思います。カスタマーサクセスで成果を出すには、「よくある失敗」を防ぐという観点も非常に重要です。
この記事では、カスタマーサクセスのよくある失敗の原因について取り上げ、気を付けるべきポイントや成功の秘訣について解説します。

1. なぜ、カスタマーサクセスが失敗してしまうのか

顧客と長期的な関係を構築するために、カスタマーサクセスが効果的であることはこれまでに他のコラムでも触れてきました。一方で多くの企業が、カスタマーサクセスが期待したとおりに進まないという課題を抱えています。

カスタマーサクセスが失敗する原因は、大きく「活動に対する認識不足」「ノウハウ不足」の2つといっていいでしょう。

ここではその主な原因とその背景を解説します。

原因
カスタマーサクセスの重要性や目的を社内共通で認識できていない

新しい活動を進める際には、その目的や意義について会社全体で共通認識を持っていることが大前提となります。経営者自身が実働するなど、経営者とカスタマーサクセスチームが近い距離にあるベンチャー企業と異なり、機能が複数の部門に分散されている一定規模以上の企業では、特にこの前提部分での課題が生じやすい傾向があります。

<原因の背景>
●トップからのビジョンやミッションが不明瞭

トップダウン型の取り組みは、ボトムアップ型の取り組みと異なり、トップの承認が得られた状態で開始されます。そのため社内調整にかかるプロセスを飛ばすことが可能で、早期に活動をスタートさせることができます。一方で、トップとその下の組織との間に認識のズレがあると、活動の方向性に誤りが生じ、結果を出すことができません。
カスタマーサクセスは広義の概念です。曖昧なビジョンやミッションでは、活動が意図しない方向に進むことがあります。トップからのミッションを受けて取り組む場合も、客観的なデータに基づき「自社にとってのカスタマーサクセスとは何か?」「何に取り組むべきなのか?」を明確にした上で、関係各所と社内調整・共有する必要があります。

●ボトムアップ型で提案したが、トップの理解が得られない

現場で業務に取り組む担当者やチームが、カスタマーサクセスへの組織的な取り組みが必要であると提案するケースもあるでしょう。この場合はトップダウン型と異なり、どのような活動を行い、何を解決すべきであるか、が明確になっています。したがって、承認さえ得ることができれば成果を出しやすい状態です。
しかし、サービスの在り方についてトップの理解が得られにくい場合も少なくありません。例えば、製造業であるものの、近年はその必要性からサービス面でも力を入れ始めた企業などの場合、営業など他の活動を優先すべきであると考えられてしまうケースがあります。
また、専任の組織を立ち上げるリスクを取らずに、既存の営業メンバー、CSメンバーに兼務させるという判断を下されることも考えられます。この場合、兼業するメンバー側で課題について正しい認識を持ち、カスタマーサクセスに取り組める体制を作ることができなければ、不十分な取り組みになりかねません。したがって、現業を優先されることのないように、カスタマーサクセス活動の成果に対しても評価されるような体制づくりが必要です。

原因
カスタマーサクセスのノウハウがない状態で始めたため、結果が出ない

企業によって、カスタマーサクセスで取り組むべき内容や進め方は異なります。そのため、自社に最適な在り方は、試行錯誤と検証を繰り返しながら見つけていく必要があります。一方で、カスタマーサクセスには成功のための定石も存在します。これらのノウハウがない状態のまま開始すれば、結果に結びつくまで長い時間がかかってしまいます。

<原因の背景>
●適切なKPIが設定されておらず、活動が成果に結びつかない

カスタマーサクセスには、継続利用というサービスの特徴を捉えた指標が存在します。この指標の活用により、課題の把握と成果の確認が行いやすくなります。適切なKPIが設定されていない場合、目標達成の度合いを定義することができず、活動が成果に結びつきにくくなります。

●進め方が人によって異なり、再現性がない

限られた人員で活動を進める場合などは、忙しいあまりに統一されたルールや進め方ではなく、個々人に対応方法を委ねてしまうケースがあります。このような再現性のない方法では、メンバーの入れ替えによって成果が大きく影響を受けることになりかねません。また、対応方針を一斉に改善して、一気に成果を上げることも難しくなります。

●蓄積されるデータの活用が出来ておらず、非効率で的外れな分析をしてしまう

客観的でかつ正しい分析を行うには、社内に蓄積されたデータを活用することが重要です。現場の肌感覚のみに頼ると、少数の顧客の状況が全体の傾向であるという間違った認識につながってしまう場合があります。このような事態を防ぐためにデータの可視化から最優先で取り組みましょう。

●人員が限られているにも関わらず、理想を追いすぎてしまう

取り組み当初のうちに十分な体制が整わないまま、あまりにも多くのことに取り組もうと無理な計画を立ててしまうと、活動が軌道に乗るまでに力尽きてしまうことにもなりかねません。無理のないペースで、一つ一つ着実に進めていくことが重要です。

2. カスタマーサクセスを成功に導く5つのポイント

次に、カスタマーサポートを成功させるポイントについて解説します。

社内共通の理解と、CS部門でのビジョン共有

社内の理解と協力を得るためにも、ボトムアップで始まった取り組みであってもトップは自社がカスタマーサクセスに取り組むべき理由と、そのミッションを明確に発信することが大切です。
また、カスタマーサクセスのミッションや、具体的なアクションプランを選定する際には、データの分析を行い、客観的な視点に基づき課題とその真因を明確化することも非常に重要です。多数の部門を持つ大きな組織の場合、他の部門やチームとの関係性や役割の違いについても明確化しておく必要があるでしょう。

KPIやデータについての理解、ツールの活用

カスタマーサクセスの活動を早期に軌道に乗せるためには、既に存在しているノウハウを活用することや、ツールを導入することが有効的です。具体的には、以下に取り組むと良いでしょう。

●一般的に用いられるKPI指標の活用

チャーンレートやオンボーディング完了率、などの一般的に用いられるKPI指標を使うことで、自社の課題の把握や解決策の検討をスムーズに進めることができます。詳しくは、以下の記事を参照してみてください。

●運用ルールを定めて再現性のある進め方をする

どのような顧客に、どのような対応を取るべきかについてのルールを制定し、誰が取り組んでも同じような成果が得られるような体制にしましょう。ツールを活用することで、顧客が特定の行動を取った場合にアラートがあがる、など取り組みを行いやすくすることもできます。

●データを活用する

カスタマーサクセスツールを利用することで、顧客の行動データと売り上げや、継続利用率などの経営方針に直結する指標の関連性を効率的に確認できます。データを活用し、取るべきアクションを迅速に選択できる体制を整えましょう。
また、カスタマーサクセスツールを利用すれば、顧客対応や、顧客情報の確認に割く時間を大幅に削減することができます。顧客数が増加すれば、全て一律の対応を取るのではなく、優先順位をつけることも必要です。顧客層ごとの運用ルールを定めておくと良いでしょう。顧客層ごとの最適な対応については、以下の記事も参照してください。

3. まとめ

この記事では、カスタマーサクセスに取り組む際に起こりうる失敗パターンを取り上げ、成功のポイントを解説しました。カスタマーサクセスを成功に繋げるには、組織が共通認識を持って活動に取り組む姿勢があること、成果に繋がる取り組み方を確立することが重要です。カスタマーサクセスツールの利用やノウハウの活用によって、少人数でも早期に成果を出すことが可能です。ぜひ成功のポイントを抑えてカスタマーサクセスに取り組んでみてください。

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