CS Ops(カスタマーサクセス オペレーション)とは?注目される理由と役割

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カスタマーサクセスは欧米で生まれた概念ですが、近年国内においても認知度が高まってきています。一般的にカスタマーサクセスの活動はカスタマーサクセスマネージャー(以降CSM)が行いますが、最近ではCSMをサポートするカスタマーサクセス Ops(以降CS Ops)の存在も注目され始めています。本記事では、CS Opsの概要や求められる業務内容、CSMとのポジションの違いについて解説します。

1.CS Opsとは? 

CS Opsとは

CS Opsとは、一般的に「システム・オペレーション面からカスタマーサクセス活動を最適化する社内向けCS(を実行するスタッフ)」のことを指します。

※後述しますが、CS Opsの基となったDev Opsも含めて厳密に定義されているものではないため、ここではあくまで一般的に解釈されている役割を紹介します。

CS Opsのミッション

CS Opsは、CSMの業務が適切かつ効率的に行われるようサポートし、システム・オペレーションの面からCS活動の効果を高めることをミッションとします。従って、CS OpsはCSMの業務についても理解している必要があります。

具体的には、カスタマーサクセス関連のシステムの管理・運用やそれらに付随する業務を担います。通常は顧客との直接的な折衝を行わず、バックオフィス業務を主として専業で活躍するのがCS Opsの特徴です。

2. CS Opsが求められる背景

もともと、「Ops(オペレーション)」という概念は、エンジニア界隈で生まれたのがはじまりといわれています。AWS上などにおけるシステム開発では複数のサービス・システムを組み合わせることが多いため、サーバなどのITインフラ的な専門知識・運用ノウハウが必要になります。そのため、開発スタッフと運用スタッフが開発段階からそれぞれ連携して進めていかなければなりません。

そこで登場したのが「Dev Ops」です。

その後、セールスやマーケティングにもOpsの役割が応用され、現在ではカスタマーサクセスでもやはりOpsが必要だ、という流れができつつあります。一部では、既存顧客の活用促進をミッションとしているカスタマーサクセスのOpsは、「すでに締結されている契約を守る」という観点においてSales Opsより重要と考える意見もあります。

本来はDev Opsにおける運用(主にインフラ・システム活用面)の効率化を担う役割のため、導入段階からOpsがいることはカスタマーサクセス活動において重要といえるでしょう。CS Opsはカスタマーサクセスの業務を理解した上で運用面でもサポートできる役割が求められています。

さて、ここまでOpsについて話してきましたが、冒頭部分でも触れた通りDev Opsも含め現時点では「Ops」という役割に明確な定義はありません。セールス・マーケティングのみならず、カスタマーサクセスにも求められるようになったOpsについては、今なお様々な解釈が存在している状況です。企画力・リーダーシップ・突破力を持ち合わせている人材がOpsを担うことが多く、結果的に「仕事ができるOpsが役割を広げがち」であることが、その原因のひとつでしょう。

いずれにしても、「顧客折衝を行わず、質の高いバックアップ・サポート業務を行う」という役割の重要性が、どの部門でも共通して認識されているといえます。

3.CS Opsの具体的な業務内容とは

次にCS Opsの業務内容を整理してみます。

CS Opsには、カスタマーサクセス部門が仕事をしやすくする仕組みづくりが求められます。ただし、その役割から勘違いされることもありますが、CSMとCS Opsは対等な関係であり、主従関係はないことを理解しておく必要があります。

Opsの主な業務

・システム活用・業務設計の実務領域を支援し、CSM・CS責任者がより効果的・効率的に役割を果たせるようにサポート。カスタマーサクセスの生産性向上・効率化につなげる

  • CSMが組織を横断して複数のチームとコミュニケーションを取るためのプロセスを構築する
  • 新任CSMがスムーズに一人前になれるような入社後オンボーディングプランを導入する
  • 質の高いカスタマー体験を提供するために有用なテクノロジーを選定し、導入をサポートする
  • カスタマーサクセス活動に利用するデータ・関連システムやツール導入を、KPIとの繋ぎ込み業務が遅滞なく回るようサポートする

4. CSMやCS部門責任者とのポジションの違い

ここでは、カスタマーサクセスに関わる各ポジションの役割の違いを整理します。

カスタマーサクセス部門責任者の役割

カスタマーサクセス部門の責任者は、CSMやCS Opsを統括する立場にあります。担当者である各プレイヤーをマネジメントしながら、それぞれの案件で起きている事象や成功体験を共有し、サービス向上を俯瞰した視点で対応します。担当者が滞りなく業務が行えるよう、パフォーマンスを管理することがミッションであり、個別案件に入ることは基本的にはありません。

ただし重要な場面では担当者のサポートに入る必要があるため、CS業務を理解しているのはもちろんのこと、CSMやCS Opsにとって良き相談相手であることが望ましいでしょう。

CSMの役割

顧客がサービスを契約し、成果や成功を感じてもらえるよう活用支援を行います。サブスクリプションサービスの浸透とともに広まったポジションです。顧客にサービスを活用し続けてもらい、価値を提供し続ける伴走者であることが期待されます。契約の更新やアップセル・クロスセルにつながる機会の創出、最終的にはLTV(顧客生涯価値)の最大化というミッションも背負っています。

CS Opsの役割と部門責任者、CSMとの違い

これまで触れてきましたが、CS OpsはCSMをオペレーション・システム面からサポートする役割を担います。カスタマーサクセス活動の最適化や業務の効率化、効果の最大化に貢献します。

CS部門責任者がカスタマーサクセス組織全体をマネジメントし、CSMはカスタマーサクセスの実現に向け顧客と向き合い、活用支援を最前線で行います。そしてCSMをサポートし、カスタマーサクセス業務の効率化を図るのがCS Opsです。

5.カスタマーサクセス実現におけるCS Opsの重要性とは?

最後に、CS Opsの重要性をあらためて整理します。

改めて、カスタマーサクセス部門は以下のミッションを背負っています。

カスタマーサクセスのミッション

  1. 顧客の課題を把握・理解し、伴走することで顧客の課題を解決し、顧客満足度を高める(= LTVを最大化する)
  2. アップセル・クロスセルのチャンスを掴み、利益の拡大に繋げる
  3. 顧客のニーズを拾い、製品・サービスの改善に繋げる
  4. 解約・失注の低減による売上ロスを防止する

そして、CS Opsが有能であればあるほどCSMの活動がスムーズになり、顧客に高品質なサービスを提供できるようになります。したがって、CS Opsは、CSの中で極めて重要なポジションに位置するといえるでしょう。

また、上記ミッションを実行するためには、KPI設計や扱うデータの選別・可視化といった、土台となる体制構築が必要です。

フロントに立って顧客対応を行うCSMに対し、CS Opsは、ツール利用におけるデータの整形や連携などシステム面でCSMがわからないことを解決したり、CSMの業務・コミュニケーションが円滑に行われるように調整したりして、組織全体における運用の最適化を図ります。カスタマーサクセス業務はCSMだけで行われているように思われがちですが、CS Opsはフロントにこそ出ないものの、縁の下の力持ちとして、CS実現のためになくてはならない存在なのです。

6.まとめ

日本ではCSMが徐々に注目され始めていますが、これからはCS Opsの注目度も上がってくるでしょう。サービスを提供する企業にとって、CSの重要性が増している以上、CSの組織化や生産性の向上、顧客への価値提供の維持向上は欠かせません。

CS Opsはまだまだ新しいポジションですが、将来性が期待できます。本記事でご紹介した業務内容や求められるスキルを理解した上で、CS Ops業務に取り組むと良いでしょう。

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