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2020年10月7日

少人数でカスタマーサクセスを成功させるには?ハイタッチ層・ロータッチ層・テックタッチ層へのアプローチのポイントとは

カスタマーサクセスの重要性を認識し、専門チームを立ち上げた場合でも、顧客に対応するリソース不足を課題とする企業は少なくありません。サブスクリプション型のサービスにおいて増加する顧客に対して効率的かつ適切なサポートを実現するには、顧客の分類を行い、対応の優先順位づけをすることが成功への第一歩です。
この記事では、カスタマーサクセスの一般的な顧客分類であるハイタッチ層・ロータッチ層・テックタッチ層について取り上げ、これらの顧客に対して少人数でも効率的に対応するポイントについて解説します。

1. カスタマーサクセスにおけるハイタッチ層・ロータッチ層・テックタッチ層とは?

カスタマーサクセスでは、一般的な顧客分類が存在します。それが、ハイタッチ層・ロータッチ層・テックタッチ層と呼ばれる分類で、対応する際のポイントがそれぞれ以下のように異なります。

ハイタッチ層とは

ハイタッチ層とは、顧客を3つに分類した際に、最もLTV(Life Time Value: 顧客生涯価値)が高い顧客層のことで、利益貢献度が高いため対応優先度が最も高い顧客です。
基本的には契約金額が大きい顧客のことを指しますが、現状の契約金額が小さくても追加契約を取れる可能性が高い場合はハイタッチ層として捉えることができます。
また、3つの顧客分類はピラミッド状に表現できます。このハイタッチ層はピラミッドの頂点に位置し、最も数が少ない層です。ハイタッチ層に対しては、日常的なフォローを心がけ、訪問や電話対応などによる個別の丁寧なアプローチが求められます。
ただし、規模の大きな企業では、社内にIT部隊など専門のサポート部隊がある場合があります。このようなケースでは、自社からのサポート内容の一部を社内で担うことができるため、手厚い対応を必要としないことも多いです。

ロータッチ層とは

ロータッチ層とは、ハイタッチ層の次に対応優先度の高い顧客で、ハイタッチ層と次にあげるテックタッチ層の中間層にあたります。
ロータッチ層に対しては顧客が必要とするタイミングを逃さずに対応することを重視し、必要な場合には個別のフォローを行いながらも、ハイタッチ層のサポートに注力するために対面による対応を抑えることが望ましいでしょう。

テックタッチ層とは

テックタッチ層とはピラミッド層の最下層に位置し、個々の利益貢献度は低くても、数が多いため収益への貢献度が高い層です。
テックタッチ層は、その名の通りテクノロジーを駆使し、個別の対応を行わずに対応の手間を下げることが重要です。たとえば、サポートの必要がある場合には、チャットボットや動画を提供するなどの自己解決手段を提供したり、新サービスの紹介はMA(マーケティングオートメーション)を利用してメールで自動配信するといった方法を採用すると良いでしょう。

2.顧客をハイタッチ層・ロータッチ層・テックタッチ層に分類するメリットとは?

次に、ハイタッチ層・ロータッチ層・テックタッチ層に分類するメリットを解説します。

少人数であっても費用対効果の高い対応ができる

顧客を分類し、それぞれに適した対応を取ることで、費用対効果を高めることができます。
すべての顧客に対して、一様に質の高い顧客対応を取ることは理想ですが、リソースなどの問題から現実的ではありません。全ての顧客に同じような対応を行うと、重要な顧客に対して割くことのできるリソースが減ることになります。自社にとって重要な顧客の解約は、収益に大きな影響をもたらすでしょう。
優先順位をつけ、メリハリのある対応をすることで、利益の維持・拡大に繋がります。

LTV最大化の効率を高めることができる

顧客をLTV(Life Time Value: 顧客生涯価値)によって分類することで、効率的にLTVの最大化が図れます。この際、LTVは厳密に算出する必要はなく、後述する自社による推測でも構いません。

利益拡大に繋がるサービス改善を行うことができる

リソースが限られているのは顧客対応だけではありません。自社のサービス開発・改善は、顧客の解約を防ぐためにも継続的に行う必要がありますが、対応できる内容には限りがあります。
顧客からの多岐にわたる要望や期待に対しては、獲得できる利益や失う損失を見込んでの対応が重要です。見込める利益が高い機能開発は、それだけ投資の回収が早くなります。どの顧客層からの要望なのかは、機能開発の優先順位づけにも役立てることができます。

自社顧客の適切なセグメンテーションに繋がる

顧客を階層に分けるプロセスは、自社の顧客理解と最適なセグメンテーションを行うプロセスでもあります。顧客分類を行うことで、顧客に対しての理解が深まり、自社のビジネスモデルや営業施策の見直しにも繋がります。
特に、サービススタートからある程度の期間が経過した後に、再度セグメンテーションを行うことで、課題の発見や解決の糸口が見つかることがあります。

3.自社に適した顧客分類の方法とは

ハイタッチ層・テックタッチ層・ロータッチ層の顧客分類の軸はLTVです。ただし、厳密である必要はなく、以下のような視点で推測されるLTVを算出すると良いでしょう。

現在の契約金額

最も代表的かつ基本的な視点です。現在の契約金額の高い顧客の継続利用率は、自社の利益に直結します。また、契約金額の高い顧客は、自社の対応やサービスに対して期待値が高い顧客であると推測できます。
このような理由から、優先度を上げた丁寧な対応をする必要があります。

将来の契約金額の見込み

現在の契約だけではなく、将来の契約金額も考慮すると良いでしょう。
たとえば、企業規模の大きい企業は、仮に現在の契約金額が小さくても、利用が進むうちに契約金額が大きくなる可能性があります。また、法人顧客は個人の顧客よりも費用や予算に余裕があり、継続的な契約が見込める可能性が高いです。

このような数値で測れる項目のほか、導入の目的などから将来の契約拡大が推測できる場合があります。
たとえば、導入目的や利用内容が顧客企業のサービスに直結していると、積極的に自社サービスを活用することが見込めます。このような場合は、アップセルの可能性が期待できるかもしれません。

顧客ロイヤルティの高さ

ロイヤルティの高い顧客は、自社の提案をプラスに受け止めやすく、アップセルやクロスセルの成功確率が高いでしょう。また、自社が活用提案を行うセミナーや事例紹介の際、社内での利用方法の説明などに協力してもらえることも期待できます。
現在の契約金額だけで判断するのではなく、口コミや波及効果により他企業からの収益をもたらしてくれるかどうかも考慮すると良いでしょう。

顧客分類は適宜見直しが必要

サービスのスタート時には、顧客に関するデータや理解が十分ではなく、最適な顧客分類が難しくなると想定されます。まずは、類似のビジネスモデルを持つ他社の事例を参考にするとよいでしょう。
ただし、自社の顧客理解が深まり、LTVに繋がる要素が明確化されてきた場合には、自社に適した分類となるように見直すことが重要です。サービス内容を変更したり、ビジネスモデルを変更したりする場合にも再設定する必要があります。

また、ここで紹介したハイタッチ層・テックタッチ層・ロータッチ層の分類と対応方法はあくまでも目安です。先にあげたように、ハイタッチ層の中にも自社のサポート部隊がいる場合には手厚い対応は不要ですし、テクノロジーによる自己解決手段の提供はすべての層に対して効果的です。自社の状況に応じて、試行錯誤を繰り返しながら、最適な顧客分類を見つけてください。

4. 少人数でも効果的なアプローチをするポイントとは

立ち上げ時のカスタマーサクセスチームでは十分な人的リソースを得ることができないケースが多いでしょう。このようなケースで効果的な対応するためには、ポイントを抑えた対応と体制づくりが重要です。ここでは少人数で効果的なアプローチをするためのポイントを解説します。

最新のツールを活用し、フォローの手間を省く

テックタッチ層への対応にはツールの活用が重要ですが、サポート系のツールはハイタッチ層やロータッチ層にも効果的です。チャットボットやユーザーコミュニティなどの自己解決ツールは利用方法に対する問い合わせを大幅に減らすことができるでしょう。
動画を使ったサポートも効果的です。動画による解説は情報量が多いため、電話による対応よりも解決スピードが早い場合があります。
特にハイタッチ層やロータッチ層に対しては、フォローが必要な際にタイムリーに対応することが求められます。解約の兆候などは、担当者の日頃のコミュニケーションばかりを頼りにするのではなく、カスタマーサクセスツールを利用して顧客のヘルススコアの変化をデータで確実に掴むことが効率面でも精度の面でも重要です。

現在の体制で十分なサポート品質が提供できているか定期的に確認する

サービス提供開始から順調に契約数を伸ばしていくことができれば、それだけ対応する顧客の数が増加し、カスタマーサクセスの担当者の手が回らない事態が生じやすくなります。その際、これまでは人海戦術でカバーされていたために、表に出てこなかったチーム体制や業務フローの不十分な点がサポート品質の低下という形で表れてくる場合があります。

以下の点を定期的に確認・修正することで、体制を見直し、サポート品質を維持することが重要です。

●優先順位の基準を確認し見直す

3つの顧客分類の基準を社内で定義したとしても、各担当者が担当する顧客数が許容数を超えてしまうと、自ずと担当者個人の判断で対応優先度が決められることになります。その場合には、担当者個人の判断に任せてしまうのではなく、どのような基準で優先順位づけをすべきかを定義しなおすことが大切です。
また、サービス提供期間が長くなれば、利用データが蓄積されていき、どのような顧客の解約傾向が高いのか、アップセルの可能性が高いのか、などを判断する基準の精度を高められます。このような場合、既存の基準とはズレが生じる場合があります。対応優先度の基準と、それに即した対応の結果がどう結びついているのかを定期的に確認し、適宜修正をかけるようにしましょう。

なお、従来の日本型の営業スタイルでは、肌感覚として主観的な感覚に頼る傾向があります。このような個人の感覚で判断するのではなく、豊富なデータを参照して客観的に判断することが重要です。

●担当者一人当たりの顧客数を確認し制御する

顧客の優先順位づけを正しく行ったとしても、一人の担当者で対応できる顧客の限界数を超えてしまえば、対応に漏れが生じて十分なサポートが行えなくなります。
また、担当する顧客数に制限をかけても、対応に手間と時間を要するフェーズにいる顧客が一人の担当者に集中している場合は、やはりオーバーフローが発生してしまいます。そのため、オンボーディングや定期フォローなどの対応のフェーズを明確にした上で、必要な時間を考慮し、フェーズごとに対応する顧客数の上限を設定することが重要です。
たとえば、一般的にオンボーディングは最も手間を必要とするため、その後のフェーズと比較して、対応可能な上限数を少なく設定すると良いでしょう。

●サポート品質への影響をデータで定期的に確認する

現在の対応体制や方法が十分であるかを確認するために、NPS(ネットプロモータースコア)のデータを活用し、サポート品質に対する満足度を定期的に確認することが望ましいでしょう。
サブスクリプション型のサービスは、いかにチャーンを下げられるかが事業継続に最も重要です。特に、ハイタッチ層のチャーンが増加すれば、利益に非常に大きな影響を受けます。顧客対応品質の低下によって、特にハイタッチ層のNPSが低下していないか、チャーンの傾向が増加していないかを常に確認し、PDCAサイクルを回すことができるような仕組みを作り上げることが重要です。

3. まとめ

この記事では、少人数のチームでカスタマーサクセスを効率的に行うために、ハイタッチ層・ロータッチ層・テックタッチ層という顧客の優先順位付けと顧客対応のポイントについて解説しました。
増加する顧客に対してもサポート品質を維持することは、事業継続のために重要です。顧客分類はLTVが軸になりますが、まずは自社の状況やサービス内容に応じて推測のLTVでも良いでしょう。ポイントを抑えて仕組みづくりを行うとともに、常にツールやデータを駆使してPDCAサイクルをまわし、最適な体制の維持を心掛けてみてください。

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