カスタマーサクセスの立ち上げを成功させるポイントは?

カスタマーサクセスは、その概念や目的、業務内容について明確な定義が存在しています。しかし、実際にカスタマーサクセスを立ち上げて実務を開始し、早期に軌道に乗せるには複数のポイントを押さえる必要があります。
この記事では、初めてカスタマーサクセスに取り組む企業を対象に、成功のポイントを解説します。

1. カスタマーサクセスの組織での位置づけとは?

カスタマーサクセスに取り組む企業における、カスタマーサクセスチームの持つ役割や位置づけについて説明します。

LTV(Life Time Value: 顧客生涯価値)の最大化を目的とする

顧客のことを深く理解し、顧客の成功が自社の利益拡大・維持に繋がるという考え方がカスタマーサクセスの基本概念です。特にサブスクリプション型のサービスにおいては、LTVの最大化は自社の成功のために非常に重要です。従来の箱売りのソフトウェアや商品のような、売って終わりの対応ではなく、契約後も顧客と共に成長をし続けるという伴走の姿勢が必要となります。多くの企業では、既に顧客視点でのマーケティングを取り入れていますが、契約後も能動的に顧客にアプローチし、成功を共に成し遂げるという姿勢は、従来型の営業活動やサポート活動とは異なるものです。

組織の既存の機能とは異なる新しい機能を持つ

上述のように、カスタマーサクセスは顧客の視点に立ちサポートするという点では、従来の営業やカスタマーサポートと共通しているものの、顧客に対して能動的にアプローチするという点で異なります。そのため、既存の機能の中に取り込むのではなく、独立した機能として業務を行う必要があります。カスタマーサクセスが、顧客との関わりにおいて、どこからどの部分まで担当するかは製品・サービス特性や企業風土・考え方によって異なりますが、一般的には、以下のような契約を獲得した後の業務を担当します。

  • サービス導入時、定着のための教育や支援(オンボーディング)
  • サービス導入後の活用支援、サポート
  • サービスの更新やアップセル、クロスセル
  • サービスの改善や新機能の提案

2. カスタマーサクセス立ち上げの成功ポイント

カスタマーサクセスの立ち上げを成功させる秘訣は、スモールスタートで導入し、試行錯誤を繰り返す中でブラッシュアップして自社に適したスタイルを確立していくことです。ここでは、押さえておくべき6つのポイントを紹介します。

既存の組織とは切り離して目指すゴールを明確化する

リソースの関係などで、カスタマーサクセスを行うチームを既存の営業やカスタマーサポートの部門と完全に独立させることは難しいかもしれません。しかし、カスタマーサクセスは既存部門の業務内容と異なるため、そのような場合でも既存の業務と切り離して目指すゴールを明確に定義しましょう。また、組織の編成や業務の切り分け・ゴールについては、立ち上げ時のものを維持し続けるのではなく、その時の状況に応じて適宜見直し・改善を行いましょう。

カスタマーサクセスの重要性や目的について、会社全体で共通認識を持つ

既存の組織とは異なる機能とはいえ、顧客と最初に接点を持つ営業やカスタマーサポート、サービス開発部門との連携がなくては、カスタマーサクセスを成功に繋げることはできません。会社全体でカスタマーサクセスの重要性を理解し、連携して取り組むために、カスタマーサクセスに関する研修の実施や勉強会の開催などを通じて、社内の認識を合わせておくことが重要です。

顧客のゴールを把握し、そのためのアクションプランを明確にする

カスタマーサクセスを立ち上げるには、必要なタスクが非常に多いでしょう。ただし、当初は試行錯誤が前提となりますので、タスクをすべてこなすための仕組みづくりよりは、やるべきこと・やらないことの取捨選択と優先順位付けを行うことが重要です。顧客とのコミュニケーションによって、顧客が目指すゴールへ導くために必要なことは何か、を念頭におくようにしましょう。

KGIとKPIの両方を設定し、KPIは日々追えるものを設定する

KGIだけではなく、KPIも設定するようにしましょう。たとえば、多くの企業では、カスタマーサクセスチームのKGIとしてチャーンレートリテンションレートを設定することが多いかと思います。ただし、立ち上げたばかりのチームにおいては、それらのKGIと何が関連性が高く、そのためにどのような活動が必要となるのかは仮説ベースでしか存在しないでしょう。KGI達成のために必要なKPIを複数設定することで、より細かい視点で活動の進捗と成果を確認し、軌道修正を素早く行うことができます。

ツールを導入してヘルススコアを活用する

ヘルススコアとは、自社サービスの利用における健康状態を顧客ごとに数値化したものです。カスタマーサクセスでは、顧客の解約もしくはアップセルの兆候を素早く察知し、能動的にコミュニケーションを取ることが求められますが、全ての顧客の状況を常に把握することは非常に難しいでしょう。ヘルススコアを設定していれば、解約の兆候が客観的な指標に表れますので、どの顧客に対してどのようなサポートをするべきかを明確に判断できます。

●カスタマーサクセスツールでヘルススコアを計測する

カスタマーサクセスツールには、ヘルススコア機能が標準的に搭載されており、スコアの変化があればアラート通知を出してくれる機能も存在します。ヘルススコアとして組み込むべき一般的な要素も予め設定されていますので、ぜひツールの導入と活用を検討してみてください。なお、ヘルススコアの数値やヘルススコアに組み込まれている要素の数値を、KPIの値として用いることも効果的です。ヘルススコアについては、こちらの記事も参考にしてください。

適性を持ったメンバーを配置してスキルアップを行う

業務を担当するメンバーは、コミュニケーション能力やデータ分析能力などの適性を持ったメンバーを配置し、その後スキルアップを行えるように計画を立てましょう。カスタマーサクセスは日本ではまだ新しい概念ですが、海外では浸透しており、関連する書籍も多く存在します。また、日本でも先進的に取り組んできた企業の事例をセミナーで聞くことができます。実務経験と併せて書籍やセミナーなどを活用して、スキルアップに繋げましょう。ただし、チームの責任者はカスタマーサクセスについて正しい理解を持ち、チームを引っ張ってゴールへ導くことができる経験者であることが望ましいでしょう。

3. まとめ

この記事では、これからカスタマーサクセスを立ち上げる企業を対象に、早期に軌道に乗せるためのポイントについて解説しました。重要なのは、明確なゴールに基づいた組織づくりによってスモールスタートを行い、試行錯誤しながらブラッシュアップする姿勢です。カスタマーサクセスは日本ではまだあまりなじみがないものの、既に成功を収めている企業もあります。ポイントを押さえて早期に立ち上げ、カスタマーサクセスの成功を目指しましょう。

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