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2020年12月25日

カスタマーサクセスはなぜ重要?成功している企業の事例をもとに解説!

SaaS型のサービスで成功を収めている企業の中には、カスタマーサクセスへの本格的な取り組みとその成果が、ビジネスの成功に繋がっている企業が数多く存在します。
この記事では、カスタマーサクセスの先駆者といえる成功企業の事例を取り上げ、なぜカスタマーサクセスに取り組んだのか、そして成功のポイントは何であったのかについて解説します。

1. Adobe

AdobeはAcrobatやPhotoshopなど、ビジネスや教育の現場で必須となるソフトウェアサービスを提供している世界有数の企業です。従来、売り切り型のソフトウェアサービスを展開していましたが、サブスクリプション型モデルに転換し、成功を収めています。

購入して使いこなしてもらうビジネスモデル

Adobeは、デジタル体験の重要性が増加している現代において、従来の箱売り型のサービスでは自社の持つ最新のサービスを迅速に顧客に届けることができず、競合他社に対して差別化を測ることが難しいと感じていました。そこで、サブスクリプション型のサービスへの転換が必要になりました。そのプロセスの中で、新しいビジネスモデルは「顧客に購入して使いこなしてもらうモデル」であると定義したそうです。つまり、「カスタマーサクセスがビジネスモデルの実現に不可欠」であったと言えます。

長期的な関係性を構築するために顧客ごとにアプローチを変更

新しいビジネスモデルを成功させるために、彼らは「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」のモデルを採用し、顧客の企業規模別に異なるアプローチを行いました。「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」モデルとは、LTV (ライフタイムバリュー)を軸に顧客を3つの層に分け、それぞれに対して最適なアプローチをとる手法を指します。
当初の施策は大きな成果をもたらすことがなかったため、トライアンドエラーを繰り返し、顧客ごとのアプローチ方法を改善しました。彼らは、企業規模が同じであっても、使い方やニーズ、チャーン(解約)のリスクの高さが異なる顧客に対しては別のアプローチが必要であることに気づきました。したがって、現在はより詳細な分類分けを行うように切り替えています。

あらゆる活動をデータに基づいて行う

Adobeは、サブスクリプション型のビジネスモデルを早期に軌道に乗せるためには、手元に蓄積された顧客の活動データをもっと早く掘り下げるべきであった、と振り返っています。そして同様に、顧客対応を行った担当者からのフィードバックも重要であると気づきました。
また、顧客ごとに適切なタイミングで必要なコミュニケーションを取るために、カスタマーサクセスツールを活用しています。顧客とのやり取りを記録するCRMシステムのようなテクノロジーの活用は、優れた顧客体験の核になると述べています。

(参考)Adobeの大改革を成功に導いたカスタマーサクセス:SMB部門の事例

2. Sansan株式会社

Sansan株式会社は、クラウド名刺管理サービスを提供しています。2012年にカスタマーサクセスチームを立ち上げており、日本におけるカスタマーサクセスの先駆者といえる企業です。

顧客の成功に貢献することで、LTVの最大化を実現

Sansan株式会社は、「自社のビジネスの成功には、顧客が成果を上げ続けることが重要である」と説明しています。したがってカスタマーサクセスチームは、顧客の成功を目指して自社サービスの価値を提供し、LTVを最大化することをミッションとしています。

顧客をセグメントし、5つのチームで対応

Sansan株式会社もAdobeと同様に、「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」のモデルを採用し、オンボーディングの成功率を重視した活動を行っています。したがって、顧客を企業規模と導入フェーズでセグメント化し、セグメント毎に異なるアプローチをしています。
例えば、大企業は2つのチームが対応をしています。1つ目のチームは、専属の担当者が直接説明会を実施するなど、コンサルティング型のハイタッチ支援を行います。2つ目のチームは、導入後に他部門に展開をするためのアップセルを行ったり、解約兆候がある場合にフォローを行なったりします。また、中小企業に対しても同様に導入フェーズごとに3つのチームが対応をします。しかし、必然的にアプローチの数が多くなるため、電話やメールなどのテックタッチでカバーしています。

カスタマーサクセスツールを利用し、スコアで解約リスクを測定

解約兆候を見極めるために、以下の3つの指標で活用度をスコアリングしています。

  • 契約IDのうち、どれだけのIDがログインや名刺スキャンを行っているか
  • 1ユーザーあたりの名刺の読み込み枚数
  • 週ごとの活用頻度

また、顧客との関係性(タッチスコア)も解約リスクの指標に取り入れています。タッチスコアには、Sansan株式会社から送付したメールの開封率や、eラーニング動画の再生回数などが含まれます。
活用度のスコアリングとタッチスコアは、いずれもカスタマーサクセスツールで管理しています。顧客状態(ヘルススコア)が悪化した場合、アラートが鳴るという仕組みを活用することで、迅速な対応を取ることができます。

(参考)40人で7,000社を支援!「ボランチ」として顧客を支援するカスタマーサクセスとは

3. freee株式会社

freee株式会社は、個人事業主や中小企業向けのクラウド型会計ソフト「freee」を提供しています。それまでは営業担当がカバーしていたカスタマーサクセスの取り組みを、2016年からは専任の担当者が引き継ぎました。

経理人材を経営に示唆を与えられるような人材へ変えていく

freee株式会社は、バックオフィス業務を行う経理人材を、経営に示唆を与えられるような人材へ変えていくことをカスタマーサクセスのもう1つのミッションであると考えています。現在だけではなく、未来の活躍まで見据えて、顧客の成功を考えていると言えます。

顧客の従業員規模によって事業部を分けて異なるアプローチを展開

freee株式会社も、他の2社と同様に「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」のモデルを採用し、顧客の従業員規模別に分かれた事業部で、それぞれに異なるアプローチを行っています。
また、それぞれの事業部によって活動内容が異なるため、全社のKPIとは別に事業部ごとにもKPIを設定して活動を評価しています。例えば、ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの3つを全て行う中小企業を担当する事業部では、顧客の成功度合いを測るスコア、利用状況を測るヘルススコア、満足度データなどを中間のKPIとして設定しています。

カスタマーサポートや開発部門と連携して、機能開発までサポート

カスタマーサクセスの担当者は、利用状況をヘルススコアによって点数化し、チャーンを防ぐ活動も行っています。しかし、役割はそれだけではありません。カスタマーサポートへ寄せられる声やアンケート活動の結果をもとに、サービスの機能開発の優先順位付けを開発部門と調整して行います。顧客の業務に与えるインパクトを鑑みた上で、開発の優先順位を判断するためです。

(参考)経理に携わる全ての人たちを、経営の“主役”に――freeeが挑む、もう1つのカスタマーサクセス

4. まとめ

サブスクリプション型のサービスを成功させている企業は、組織的にカスタマーサクセスに取り組み、PDCAサイクルを回しながら最適な取り組みを行っています。この記事で紹介した企業は、以下の共通点があります。

  • カスタマーサクセスを通して目指す姿を定義し、組織的に取り組みを行う
  • 顧客をセグメント化し、各層ごとにハイタッチ・ロータッチ・テックタッチのアプローチを取る
  • サービスの利用データや、顧客とのコミュニケーションの履歴などのデータを活用する
  • 顧客に対して適切なタイミング・内容のアプローチを行うためにツールを活用する

自社に最適なカスタマーサクセスの取り組みを行うためには、トライアルアンドエラーを通して活動を改善することが求められます。また、成功企業の事例をもとに、ポイントを抑えて取り組むことが効果的です。

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