カスタマーサクセスの始め方 まず押さえるべき3つのポイント

初めてカスタマーサクセスに取り組む企業にとっては、たとえその重要性を理解していても何から始めたらよいのかわからないと戸惑うことがあるかもしれません。

この記事では、カスタマーサクセスを早期に軌道に乗せるために、最初に押さえておくべき3つのポイントを取り上げて解説します。

1. カスタマーサクセスとは

改めて、カスタマーサクセスとはどのような活動のことを指すのかを確認しておきましょう。カスタマーサクセスは、自社が提供するサービスや製品を通じて、顧客を成功に導く活動を指します。

SaaSビジネスはもちろんのこと、既存のビジネスで成功を収めるためにも、顧客に長く自社のサービスや製品を使い続けてもらう必要があります。カスタマーサクセスとは、顧客が自社のサービス・製品を利用することによって成功を収め、長く利用を続けることにより、結果として自社が成功を収めることを目指す姿勢のことです。

顧客の成功を導くためには、顧客が何を目的に、どのように製品・サービスを利用しているのかを把握して適切なサポートを能動的に行う必要があります。
カスタマーサクセスと既存のカスタマーサービスや営業との違いについては、以下の記事も参考にしてください。

2. カスタマーサクセスを始めるにあたり押さえるべき3つのポイント

カスタマーサクセスは、従来のカスタマーサポートや営業とは異なる姿勢や進め方が必要となる活動です。そこで、新しく取り組みを開始して早期に軌道に乗せるためには、以下3つのポイントを意識するようにしてください。

2-1.カスタマーサクセスの目的を明確化し、目標を設定する

  • カスタマーサクセスの目的を明確化する

やみくもに活動を開始してみても成果を得ることは難しいでしょう。まずは、自社サービスの現状と目指したい姿との間にどんなギャップがあるのかを整理し、分析することをおすすめします。そして、そのギャップを埋める解決方法として、カスタマーサクセスに何を求めるのか、何をゴールとするのかといった目標を設定します。

カスタマーサクセスに取り組む企業の目的はさまざまですが、LTV(Life Time Value)の改善、プロダクトやサービス自体の改善、および、それによる顧客満足度の向上といった最終目標のほか、ハイタッチコミュニケーションの効率化・ロータッチ層の掘り起こし・テックタッチによる自動化といった具体的な目標の明確化も重要です。カスタマーサクセスの主な役割については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

  • 「顧客のサクセス状態」を定義する

目標を設定する際に決して忘れてはいけないのが、自社の製品・サービスによって「顧客がサクセスされている状態」とはどのようなものかを定義することです。

カスタマーサクセスの最終的な着地点が自社の利益につながるからといって、目指すべき顧客のサクセスがどのようなものかを飛び越えてしまうと、結局は数値に振り回されたり、中身の伴わない活動になったりしてしまいかねません。

自社が目指すべき形とともに、顧客が自社サービスをどのように活用してくれるのが理想的なのかをしっかり考えておくことが非常に重要です。

  • 設定した目標にしたがって、KGIやKPIを設定する

目標を設定したら、その進捗状況ならびに達成状況を適切に把握するためにKGIKPIを設定します。立ち上げ当初は、活動内容の成果がどのように最終目的に結びつくのかが分かりにくい場合もあるため、いきなり最終目標を成果の指標とするのではなく、状況に合わせて段階的に指標を設定するようにします。

たとえば、これからカスタマーサクセスに取り組むのであれば、まずは顧客への理解度やサービスの利用状況などの現状が正しく把握できている状態を目指すべきでしょう。
顧客がどのような使い方をしているのかが把握できていなければ、成功のために必要なサポートを適切に提供することはできないため、顧客の利用状況をデータとしてリアルタイムに把握する必要があります。そのためには、「カスタマーサクセスツール」などのテクノロジーを活用すると効率的です。

また特にKGIは、カスタマーサクセス部門が単独で検討するのではなく、マーケティングや営業などの関連部門とも連携しながら考慮するとより良いでしょう。製品やプロダクトが成功を収めるためには、組織全体としての成果が出るようなKGIの検討と設計が求められます。なお、KGIやKPIなどの指標については、こちらの記事も参考にしてください。

2-2.組織体制を整え、カスタマーサクセスの活動を設計する

カスタマーサクセスの目的や目標が明確になったら、その達成に向けた適切な組織体制を整え、活動内容を設計します。カスタマーサクセスのための活動は、基本的には顧客のライフサイクルに従って以下の4つの業務で構成されます。各業務についての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

オンボーディング

契約した顧客の利用を定着させるフェーズです。導入直後は製品やサービスに対する顧客の熱量が高いため、早期にサービスの使い方を理解し活用のメリットを感じてもらうことが継続利用の鍵となります。

アダプション

オンボーディングが完了した顧客に、さらにサービスを活用してもらうことを目指していくフェーズです。

エクスパンション

自社のサービスに対する顧客の活用を一層拡大させていくフェーズで、アップセルクロスセルが含まれます。

プロダクトフィードバック

顧客の満足度を維持・向上させるために、サービスの改善や新機能のニーズについて開発部門へのフードバックを行います。

上記の各フェーズでは、それぞれ求められる機能や役割が異なります。立ち上げ当初は、人員も限られることなどから1つのチームもしくは担当者1人が1顧客のライフサイクルを網羅する形式を取ることが多い一方、顧客数が増加した場合には上記のフェーズごとに担当をわけることもあります。

各業務を円滑に進めるためには、それぞれの役割を理解し、その役割に適した素質やスキルを持つ担当者を選定することが重要です。

2-3.施策の結果をデータから検証し、次の施策の改善に活かす

活動のための体制が整った後は、目標の達成に必要な施策を立案し、実施していきます。各施策の効果を検証する際は、迅速・正確に行うために、顧客へのヒアリングなどの定性データと利用状況などの定量データの両方を用いることが求められます。

カスタマーサクセスの成功には、データドリブンな対応が鍵となります。特に、顧客の利用データやその関連データに基づいて設定する顧客の健康状態の把握と評価は重要で、これは「カスタマーヘルススコア」と呼ばれます。カスタマーサクセスツールなどを活用して、必要なデータの収集と分析を定常的に行えるような仕組みを構築してください。

3.カスタマーサクセスを早期に軌道に乗せるためには

顧客のゴールを把握し、そのためにすべきこと・しないことを定義する

まずは早期に仕組みを構築するために、すべきこととしないことの取捨選択、そして優先順位付けを行うことが重要です。優先順位づけの際には、顧客とのコミュニケーションにより顧客の描くゴールや成功を正しく把握し、「そのゴールを達成するために必要なことは何か」を念頭におくようにしましょう。

ツールを導入し、データを活用する

カスタマーサクセスでは、顧客の解約もしくはアップセルの兆候を素早く察知し、能動的にコミュニケーションをとることが求められますが、すべての顧客の状況を常に把握し能動的に働きかけることが非常に困難なのもまた事実です。そこで、ヘルススコアなどのデータを活用した対応の構築が効果的となります。

ヘルススコアを設定していれば、解約の兆候がスコアという客観的な指標に表れるため、スコアの変動をトリガーとしてアクションを起こすことができるようになります。カスタマーサクセスツールにはヘルススコア機能が標準的に搭載されているものも多く、スコアに変化があればアラートで通知してくれる機能も存在します。

スケーラビリティも考慮する

立ち上げ当初は顧客の数も限られているため、場当たり的な対応をとっても問題が生じない場合もあるでしょう。しかし、顧客数が増加してくると、活動の仕組み化や対応の再現性が求められます。

はじめは試行錯誤も多いと思いますが、将来的なスケーラビリティも考慮に入れ、ツールやデータなどを活用して取り組みの仕組み化を行うことを検討してください。

4.まとめ

カスタマーサクセスを早期に成功させるには、カスタマーサクセスで目指したい姿や目標を明確化することと、顧客を正しく理解できていることが重要です。カスタマーサクセスツールなどのテクノロジーを活用することで、顧客の状態の正確な把握や、効果の検証・仕組みの構築なども容易になります。ツールの力もうまく借りながら、カスタマーサクセスの成功を目指してください。

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