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2021年09月24日

NPS®はなぜ重要なのか?業績向上に繋がる理由とカスタマーサクセスの指標となる理由を解説!

近年、多くの企業では、自社や商品・サービスに愛着を持つロイヤルカスタマーを重要視するようになっています。このような流れの中で、注目を集めているのが顧客ロイヤルティを測るNPS®(Net Promoter Score)です。この記事では、企業での導入が進んでいるNPS®について、業績向上に繋がるとされている理由とカスタマーサクセスでどのように取り入れるべきかを解説します。

1. NPS®とは?顧客ロイヤルティを測定するのに顧客満足度では不十分?

NPS®(Net Promoter Score)は、顧客ロイヤルティの測定に用いられる最も一般的な指標です。アメリカのコンサルティング会社「Bain & Company」によって開発され、現在世界中の多くの企業で導入されています。

NPS®の測定方法

NPS®は、「この商品・サービスを知人や同僚にどの程度勧めたいですか?」という質問に対して、0~10点の11段階で評価をしてもらうというシンプルな方法です。そして、0~6点を批判者、7~8点を中立者、9~10点を推奨者と定義し、その割合を用いてスコアを算出します。

NPS®スコアの計算式

推奨者の割合(%)- 批判者の割合(%)

顧客満足度調査では不十分?

顧客満足度は、顧客の商品やサービスへの満足度を測る指標で、こちらも多くの企業で使われています。ただし、商品・サービス自体に満足していることは、必ずしも高いロイヤルティ、つまり顧客が自社やその商品・サービスに愛着があることと比例しません。

たとえば、商品自体は良いものであると思い、調査で「満足している」と回答した顧客がいるとします。しかし、「購入場所が限られる」「購入方法が複雑」などといった、商品自体の性能や品質とは別の部分に不満が隠れているケースがあります。このような場合、この顧客が自社商品をリピートしてくれるとは限りません。今後他社から似たような商品が出て、サービスがより優れていれば、乗り換える可能性も高いでしょう。このように、顧客満足度は現時点での商品やサービスの満足度を測定する方法であり、将来的な離反や収益性を推測するためには不十分です。実際、Bain & Companyは、顧客満足度調査の結果と収益性が連動しないことをきっかけとして、NPS®を開発しています。

2. NPS®はなぜ重要?業績との関連性は?

業績成長との相関が高い

NPS®が多くの企業に導入されている最も大きな理由として、業績成長との相関が高いことがあげられます。NPS®は、人に勧めるというハードルの高い行動を確認すること、将来の行動を予測させることから、実際にその商品やサービスを再購入・再利用する可能性を、より正確に測定できます。そのため、NPS®スコアを継続的に確認することで、今後の収益拡大の判断材料として活用されています。将来の収益を正確に予測することは、継続利用が要となるSaaSビジネスにおいては特に重要です。

利益拡大のための施策を検討しやすい

NPS®をアンケート項目に組み込み、その他の項目の結果も含めて総合的に判断することで、収益拡大のための課題の発見と、施策の検討を効率的に行うことができます。なお、SaaSビジネスにおいては、サービスの利用状況のデータも含めて確認することで、正常に利用しているものの離反しやすい状態にある“見せかけのロイヤルカスタマー”の発見にも繋がります。
また、顧客をセグメントに分類することで、優先的に対応すべき顧客層を見極めることが可能です。多くの顧客を持つ企業にとって、対応に適切な優先順位付けを行うことは利益の維持・拡大のために重要です。

3. NPS®の注意点と活用方法

NPS®スコアの背景まで分析可能な設計にする

NPS®をただ測定するだけでは、課題の真因を発見することには繋がりません。課題を正確に把握し、解決方法を検討するためには、背景情報の収集と分析を行い、課題の真因を推測することが重要です。自由記述も含むその他の項目と同時に測定し、背景情報まで分析できるようなアンケート設計にしましょう。
なお、NPS®の信頼性が高い理由の一つとして、質問内容がシンプルで答えやすく、回答負荷が低いこともあげられます。一般的に、質問数が多く回答負荷が高い場合には、回答の精度が低下すると言われています。そのため、NPS®を取り入れたアンケート調査も質問数と内容を吟味し、回答負荷を抑えることも必要です。

絶対評価ではなく、相対評価の指標として用いる

NPS®では、スコアをもとに顧客を3つのセグメントに分類しますが、この際に注意すべき点があります。NPS®に限らず、アンケート調査において、日本人は極端な評価を避ける傾向にあり、平均的な真ん中の選択肢を選びやすいとされています。そのため、日本では「批判者」の割合が高くなり、NPS®スコアもマイナスであることが珍しくありません。この点を念頭に置いた上で、NPS®スコアは絶対評価ではなく、相対評価の指標として捉えることが適切でしょう。

過去と比較した現在の評価や印象を把握する

一度設計したアンケート調査を継続的に用いることで、その時点での顧客からの評価や印象を確認し、過去の結果と時系列で比較することが可能です。前回の測定後に実施した施策の効果測定と、次に取り組むべき課題の特定に役立てることができます。

同業種内での自社の事業の大まかな立ち位置や印象を把握する

NPS®は、その他のアンケート調査とは異なり、測定方法がすべての企業で同一であることも特徴の一つです。そのため、同業種内の他社との相対評価で確認し、自社の事業の大まかな立ち位置や印象を把握することが可能です。たとえば、NTTコミュニケーションズ株式会社では、NPS®のレポートと業界別のランキングを公開しています。(https://www.nttcoms.com/service/nps/report/) 

このようなデータを活用し、同業他社の値を参考にすることも自社の課題の把握に繋がります。ただし、海外企業と比較する際には、前述のとおり日本企業のスコアが低く出る傾向にあることに注意してください。

NPS®の結果をもとに顧客をセグメンテーションし、優先順位づけとセグメントごとの施策を検討する

顧客の収益性(高・中・低)など他の指標とNPS®を用いて、顧客をセグメンテーションし、顧客同士を比較することで、自社顧客の理解に役立てることができます。この際には「批判者」「中立者」「推奨者」といった各セグメントの定義を絶対的に捉えるのではなく、自社顧客内で相対的に捉えてください。セグメンテーションした後、特に優先して対応しなくてはいけない顧客の把握と、各セグメントに応じた施策の検討が可能になります。

カスタマーサクセスのKPI指標とし、顧客ロイヤルティ向上と対応の優先順位づけに役立てる

顧客ロイヤルティを計測するNPS®は、カスタマーサクセスのKPI指標として用いられることもあります。SaaSビジネスにおいては、継続的な利益に直結する顧客ロイヤルティを向上させることは特に重要です。NPS®は顧客ロイヤルティを測定する代表的な指標の一つであり、定期的に把握することで、将来の収益予測に役立てることができます。また、サービス立ち上げ後に顧客数が加速的に拡大していくSaaSビジネスで、カスタマーサクセスにより継続的な関係性を構築するためには、自社顧客の理解と優先順位付けが重要です。このような目的でも、NPS®を活用することができます。

4. まとめ

SaaSビジネスにおいては特に、顧客ロイヤルティを正しく測定することは、将来の収益拡大のために重要です。NPS®は顧客ロイヤルティを測定する代表的な指標であり、業績との関連性が高いため、多くの企業で導入されています。一方で、NPS®の理解と活用には注意点があり、相対的評価として取り入れることが適切です。効果的に取り入れることができれば、カスタマーサクセスの成功にも繋がるでしょう。自社サービスの課題発見や対策を検討する際には、NPS®の導入も検討してみてください。

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