目次
いわゆるスイッチングコストが比較的低いWeb広告ビジネスやマーケティング支援ビジネスにおいては、顧客への適切なサポートにより満足度を高め、契約を維持していくことが重要です。
一方で、多数の顧客と取引を行うなか、すべての顧客に十分なサポートを提供する時間やリソースを確保できていないケースも多いのではないでしょうか。そこで検討したいのが、カスタマーサクセスの視点を取り入れた施策の実施です。
この記事では、Web広告代理店やマーケティング支援会社の方に向けて、サービスの継続契約につながるカスタマーサクセス視点の活用方法を解説します。
Web広告代理店/マーケティング支援会社のよくある課題
Web広告代理店/マーケティング支援会社においては、一人の担当者や少人数のチームが多数の顧客を抱え、日々の対応に追われているケースが多くみられます。限られた時間の中では、すべての顧客に対して高い品質でサポートを実施することは困難でしょう。
十分な時間やリソースがない状況では、顧客に対応の優先順位をつける必要がありますが、優先すべき顧客をどのように判断するかも悩ましい問題です。
また、Web広告やマーケティング支援の分野では、いわゆるレッドオーシャン化が加速しています。競合他社が多く存在し、他社へのスイッチングコストも比較的低いため、簡単に契約を切り替えられてしまうおそれがあります。
競争が激化するなか、どのように顧客との継続的な契約を実現し、自社の収益性を安定させていくかが、Web広告やマーケティング支援ビジネスにおける大きな課題といえるでしょう。
継続契約を実現するために有効なカスタマーサクセス視点
Web広告代理店/マーケティング支援会社が抱える課題を解決するためには、同様の状況にある他業界の取り組みを参考にするのが有効です。近年広がりをみせているサブスクリプションビジネスやSaaSビジネスにおいても、スイッチングコストの低さが課題となっています。
SaaSサービスは契約のハードルが低いため、他社への乗り換えも簡単です。また、物理的な製品が存在しないケースが多く、解約も簡単に行えてしまいます。ビジネスを成功させるためには、解約率をいかに下げるかが重要なポイントの一つといえるでしょう。
こうした状況のなか、サブスクリプションビジネスやSaaSビジネスにおいて普及しつつあるのが、カスタマーサクセスの取り組みです。カスタマーサクセスとは、顧客が抱えている課題の解決や目標達成など「顧客の成功」につながる支援を、サービス提供側が能動的に行うことを指します。
これまでは、サービス提供側はあくまで「サービスを確実に提供する」ことに注力し、顧客が抱える課題は顧客側で解決するものという認識がありました。一方で、カスタマーサクセスでは、顧客側の課題解決も含めてサポートを行うべきという考え方を持って顧客と関わります。
解約率を下げるためのポイントは、顧客に「そのサービスがなくてはビジネスや生活が成り立たない」状態になってもらうことです。カスタマーサクセスの視点で顧客の成功に貢献し、サービスの価値を「なくてはならない」レベルまで高めることを目指します。
既存の契約を維持していくという視点では、Web広告/マーケティング支援業界においてもカスタマーサクセスの考え方が参考となるでしょう。
Web広告代理店/マーケティング支援会社がカスタマーサクセス視点を取り入れる方法
それでは、具体的にWeb広告/マーケティング支援業界ではどのようにカスタマーサクセスの取り組みを進めていけばよいのでしょうか。以下では、各場面における主要なポイントを紹介していきます。
各顧客の目標達成状況の一元的な把握
各顧客の状況を一元的に把握することが最初のステップです。
Web広告やマーケティング支援の取り組みにおいては、広告運用金額やコンバージョン率、CPAなどの数値によって目標達成状況を判断しますが、これらの情報も利用しつつ顧客の状況をまとめます。
顧客情報の一元化に有効なのが、カスタマーサクセスツールの利用です。カスタマーサクセスの取り組みに必要となる機能が揃ったツールであれば、ロイヤルティを高めるための顧客情報の管理を簡単に実現できます。
Web広告代理店/マーケティング支援会社の業務は多忙になりがちです。対応すべき顧客が多いことから、マネージャーの方にとってはチームメンバーの顧客対応状況を把握していくだけでもかなりの負荷となります。
カスタマーサクセスツールにより各顧客の目標達成状況を可視化できれば、管理負荷を低減できるでしょう。目標達成状況の把握は属人化しやすい業務ですが、ツールをうまく活用し、全体で進捗管理を行うことで、抜け漏れの防止や活動品質の向上にもつながります。
優先すべき顧客の見極め
顧客の状況を把握できる体制が整ったら、目標の達成状況や契約期間、対応している人数と契約金額のバランスなどの要素を踏まえ、優先すべき顧客の見極めを行います。
そのほか、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)により顧客の重要度を判断する方法も検討できます。LTVとは、顧客から得られる生涯の売上や利益を数値化したものです。顧客との契約期間が長いほど、契約規模が大きいほどLTVは高くなります。
取引先のLTVを算出し、自社に利益を与えてくれる顧客を重点的にフォローすることで、長期的な視点での収益最大化につながるでしょう。
カスタマーサクセスツールを活用すれば、これらのデータをダッシュボードで把握することも可能です。
顧客動向の把握
Web広告ビジネスやマーケティング支援ビジネスの顧客対応は、カスタマーサクセスで言う、「ハイタッチコミュニケーション」をすべての担当顧客と行っている状態ともいえます。故に、この業種は激務となりやすい傾向があるため、業務をいかに効率よく進めていくかが常に課題になっています。
その課題を解決する方法の1つとして、優先すべき顧客をLTVや月間の取引額のみで判断するのではなく、多面的な情報を元に「いま対応が必要な顧客を見逃さない」「いま注力すべき顧客を絞り込む」といった運用が挙げられます。
業務の効率化と、継続率の改善を両立するためには、適切なタイミングでフォローを実施していく必要があります。そこで重要なのが、顧客の状態変化を見逃さないことです。顧客とのコミュニケーションを通して、心情の変化や不満の有無などを把握したうえで、適切な対応を行っていきます。
顧客動向を把握する場面でも、カスタマーサクセスツールの活用が有効です。ツールによってメールや電話などのコミュニケーション履歴を管理し、顧客の状況を把握します。顧客に課題が発生している場合は、チームで課題を共有しつつ、進捗管理を含めた対応を進めましょう。
また、多くのカスタマーサクセスツールには、顧客の状況変化を把握し、閾値を超えた場合にアラーティングを行う機能も備わっています。
まとめ
この記事では、Web広告代理店やマーケティング支援会社の方に向けて、契約の継続を実現するために有効なカスタマーサクセス視点について紹介しました。
近年、カスタマーサクセスの取り組みは、さまざまな業界・業種で注目されています。カスタマーサクセスツールを活用することで、顧客対応の品質向上による契約継続や、可視化による業務効率化などの効果が期待できるでしょう。