カスタマーサクセスをアウトソースするメリット・デメリットと依頼する際のポイント

カスタマーサクセスは、サービスの継続率や顧客満足度の向上に寄与する取り組みとして、近年注目を集めています。

しかし、カスタマーサクセスの重要性を認識していても、リソース不足などにより、自社でカスタマーサクセス組織を立ち上げることが困難なケースは少なくありません。
そこで検討したいのがカスタマーサクセスのアウトソースです。

本記事では、カスタマーサクセスをアウトソースするメリットやデメリット、アウトソースを検討する際の判断基準について解説します。

1.カスタマーサクセスのアウトソースが求められる背景と依頼の際のポイント

近年、サブスクリプションのクラウドサービスの普及に伴い、顧客へ価値を提供し続け、LTV(顧客生涯価値)を最大化することが求められています。そのためカスタマーサクセスの重要性は日に日に増していますが、必ずしも自社でカスタマーサクセスが実施できるわけではないため、そういった企業ではカスタマーサクセス業務をアウトソースすることが増えています。

では実際にアウトソースをする際には、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。カスタマーサクセス業務は大きく以下4つに分類できますが、組織のフェーズやカスタマーサクセスの目的・業務内容によって、アウトソースする内容が変わってきます。

初期支援(≒オンボーディング)

組織作り、課題ヒアリング、業務プロセス策定、ヘルススコアなどのKPIの設定、WBSレベルの中長期のプランニング、顧客へのトレーニングなど立ち上がりの支援をスポットで実施します。

運用支援(≒アダプション)

定めたKPIの定点観測と達成状況をフォローします。当初定めた目標を達成しているかを確認し、達成していない場合は原因究明とネクストアクション、そのスケジュールの確認を行います。また、顧客へのアプローチ方法のノウハウ提供や、伴走支援時の顧客コミュニケーションなども実施していきます。

更新・営業(≒エクスパンション)

プリセールス活動のように、既存顧客からどのようにアップセル/クロスセルを狙いに行くかの営業や提案活動を支援します。

改善点整理(≒プロダクトフィードバック)

アウトソースされることが比較的少ない領域ですが、①−③のPDCAを回すことによって得られた顧客からの改善要望を成果物としてまとめ、プロダクトチームへ共有し、ソリューションの改善につなげていきます。
さらに、プリセールスや経営層にもフィードバックを行い、顧客の声を社内に届け、組織力向上を支援します。

※カスタマーサクセスを4つの業務に分けてアウトソースで支援できる内容を解説していますが、実際には①初期支援や③更新・営業の組織づくりにアウトソースのノウハウが活かされ効果も出やすいでしょう。

これらの各業務のうち、自社がどの状態に位置しているかの確認を行い、アウトソースの依頼内容を検討することが重要です。アウトソースのサービス提供会社も、顧客の状況に合わせた様々なメニューを取り揃えているため、柔軟に使い分けることができるでしょう。

例えば、自社のサービスの急成長で内製化が間に合わない場合、アウトソースの活用によって、カスタマーサクセス部門の早期立ち上げを実現できます。そして、採用が追いつき人材が確保され、既存のメンバーにスキルを伝えるまでを支援してもらえるでしょう。

参考記事:カスタマーサクセスの始め方 まず押さえるべき3つのポイント

2.カスタマーサクセスをアウトソースするメリット・デメリット

カスタマーサクセスをアウトソースするメリットとデメリットは以下のとおりです。

アウトソースのメリット

  • 自社に知見がなくても素早い立ち上げが可能
  • 外部に存在するスキルやノウハウを自社に浸透させ、将来的な内製化にもつなげられる
  • ゼロから学ぶ必要がないため業務効率化につながり、集中すべき業務に多くの時間を割くことができる

アウトソースのデメリット

  • アウトソースのためのコストが発生する
  • 自社の目指すべきゴールを正しく共有できない場合、意図とは違う結果が生じるおそれがある
  • 内製化に向けた体制・ロードマップづくりも併せて行わなければ、体制づくりや人材育成が進みにくい

次にアウトソースを依頼する際に注意すべきポイントについて解説します。

a.自社の状況に近い事例や実績があるかどうか

アウトソースの依頼内容が、自社の業務内容や活用するフェーズに合っているかを確認しましょう。自社の状況に近い実績や事例を持つアウトソース先であれば、依頼後の成功イメージが伝わりやすく、ミスマッチを防げます。

b.設定するKPIが現実的にクリアできそうか

アウトソースの目的は企業によって多種多様です。例えば、カスタマーサクセス部門を立ち上げて、ゆくゆくは自走できるようにする、特定のスキルやノウハウをメンバーに習得させるといったものから、リニューアルレートをXX%にするといった具体的なKGIやKPIの設定などが考えられます。

アウトソース先に依頼をする際には、目的を明確に伝え、両社で期待値を合わせておくとよいでしょう。期待値を事前に合わせることで、契約後のギャップが生まれにくくなります。

c.リクエストに柔軟に対応してくれるか

サービスメニューがパッケージの対応なのか、自社の業務内容を踏まえての柔軟な対応が可能なのかを確認しましょう。

参考記事:CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?重要性とCX向上のポイントを徹底解説!

3.カスタマーサクセスのアウトソースを提供している4社

ここでは、実際にアウトソースのサービスを提供している会社の特徴やサービス内容を紹介します。

a.セレブリックス

カスタマーサクセスアウトソーシングを提供しており、以下3つの特徴があります。

・データに沿ったヒアリングで顧客の課題を引き出す
・感覚ではなく数値をもとに解約リスクを低減
・金融もECも旅行も、あらゆる業種で支援可能

業務範囲を絞った支援も可能で、スタートアッププログラムの策定、マーケットスコア・ヘルススコアの作成、カスタマーサクセス組織構築など幅広いサービスを提供しています。

https://www.eigyoh.com/service/20181203

b.パーソルプロセス&テクノロジー

これまで行ってきた営業のアウトソーシングで培った知見や経験を活かし、「カスタマーサクセス戦略設計・実行支援」のサービスを提供しています。カスタマーサクセスで必要とされる解約率の低減、解約理由の明確化とそのアクション、ロイヤルティの向上などに強みを持っています。

https://www.persol-pt.co.jp/salesmarketingservice/service/customer-success/

c.ハジマリ

カスタマーサクセスのアウトソーシング事業では、現状の顧客満足度を把握して顧客との向き合い方を定め、顧客視点と客観的事実により的確な情報提供と課題把握を行うことにフォーカスしています。
そして、しっかりと開発チームへのフィードバックを行い「カスタマーエクスペリエンスをマネジメントする」までを支援します。

https://hajimari.ai/service/customersuccess/

d.ウィルオブ・ワーク

テレアポや営業代行、インサイドセールス、営業研修など営業のトータルサポートが可能で、カスタマーサクセス代行支援も提供しています。3,000社近い導入実績があり、顧客に寄り添った細やかなサポートに定評があります。

https://willof-work.co.jp/salesmedia/cat_article/customer-success/

4.カスタマーサクセスを自社で行う際に有益なツール3選

カスタマーサクセスのアウトソースにより、人材やスキルが不足していても素早い立ち上げが可能です。
しかし、アウトソースまではしなくても、ツールを活用することで自社のカスタマーサクセスに関する課題を解決できる場合もあります。本章では、カスタマーサクセスを自社で行う際に役立つツールをご紹介します。

カスタマーサクセスには顧客統合、状態把握系、NPS、FAQなどのカテゴリーがあります。各カテゴリーの代表的なツールをピックアップしました。

顧客の状態を把握するツール:CustomerCore

CustomerCoreは、基幹システムやCRM/SFAにある顧客関連データやメールなどのコミュニケーションデータをCustomerCore CDP(Customer Data Platform)に集約し、システムがそれらのデータを自動巡回することによって、顧客の状態変化をタイムリーに把握できるシステムです。

ハイタッチコミュニケーションを効率化することができるため、リソース増強の前にまずツールによる合理化を進める場合におすすめです。

https://customercore.jp/

利用方法をガイドするツール:openpage

openpage は、カスタマーサクセスにおいて顧客に伝えるべき情報を整理・共有し、コミュニケーションのデータ化と顧客理解を促進するのに役立ちます。

利用者に対してエフォートレスなサービス理解を促すことができますので、リソースを増強する前に、検討すべきツールのひとつです。

https://openpage.co.jp/

コミュニティを運営するツール:commune

commmune(コミューン)は、コミューン株式会社が運営する「カスタマーサクセスプラットフォーム」です。顧客とのタッチポイントを一元化する「顧客ポータル」を、簡単に構築できます。

こちらの運営の一部をアウトソースするといったことも検討ポイントになります。

https://commmune.jp/

5.まとめ

テレアポ代行や営業支援、研修などのアウトソースに加えて、カスタマーサクセスをアウトソースする企業も増えてきています。自社にノウハウや時間・スキルがない場合は、アウトソースを活用することで、短期間で一定以上の効果を得られるでしょう。カスタマーサクセスをアウトソースする際には、自社に合うアウトソース先を選択するとともに、自社の状況や目的を正しく伝えることが重要です。

メリットだけではなくデメリットや注意点も理解したうえで、アウトソースすべきかどうかを判断しましょう。自社でカスタマーサクセスを効果的に行うために、ツール活用を検討するのも選択肢のひとつです。

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