カスタマーサクセスの仕組み化に不可欠なポイントとは

サブスクリプション型サービスの台頭に伴い、顧客の成功を支援するカスタマーサクセスに取り組む企業が増えています。カスタマーサクセスの取り組みで頭を抱える課題の一つが仕組み化です。仕組み化とは「属人的にならずに再現性のある仕事の進め方を構築すること」です。
この記事では、カスタマーサクセスの仕組み化を始める際に欠かせないポイントを解説します。

1. カスタマーサクセスを仕組み化する際に準備するポイント

はじめに、スムーズに仕組み化を進めるポイントについて解説します。現在の取り組みと照らし合わせ、準備を進めていきましょう。

顧客を成功に導くプロセスを定義する

まず、何より重要なのは、顧客を成功に導くプロセスの設計です。顧客にとって「何が成功なのか」を整理し、成功のゴールへ向かうプロセスを確認します。各プロセスの状態を定義することは、顧客状態の良し悪しを判断するための重要なポイントです。

顧客情報のデジタル化・見える化を促進する

顧客が「今」どういう状態なのかを把握できる環境は、カスタマーサクセスの活動にとって重要です。順調に前に進んでいるのか、困っているのか、顧客の状態をタイムリーに把握できれば、適切な対応ができ、お互いのコストが最小限に収まるでしょう。顧客の基本情報、接点、サービス利用状況など、顧客に関連する情報が常に可視化できる環境整備も重要なポイントの一つです。

隣接部門との役割の明確化

カスタマーサクセスは、営業部門、サポート部門など、連携する部門が多く、業務範囲が重なることも少なくありません。例えば、カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、言葉が似ていることもあり、役割に混乱が生じることがあります。カスタマーサクセスは、顧客の状態を把握し、予測しながら先回りした活動を行い、利益につながる活動が求められます。カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせに、正確に短時間で対応する生産性の高い活動が求められます。両者は、達成すべき目標が異なりますが、仕組み化を実施する前は、明確に分担されていないことがほとんどです。仕組み化のタイミングでは、今一度、各部門の役割や目標を改めて明確化する機会を設けると良いでしょう。

2. カスタマーサクセスを仕組み化する方法

次に、仕組み化に向けた具体的な策定ポイントを掘り下げて解説します。

属人化を防ぎ、成果のムラを低減

顧客対応の属人化は、顧客数の増加と共に情報が複雑化しブラックボックス化を招きます。顧客の正しい情報や状態を把握できないと適切な対応を導き出すことが困難です。適した対応ができず、信頼を失ってしまうことは避けたいものです。属人化を防ぐために、情報共有の方法を検討し、活動の標準化を行い、成果を継続的に出していけるような仕組み化を目指しましょう。

LTVを最大化させる仕組みの構築

契約の単価を上げる、解約率を下げるなど、LTVを構成する要素となる目標を達成するには、顧客の状態に合わせて施策を用意し、アプローチすることが一般的です。ただし、顧客が満足していない状態でのアプローチは、成果が出にくく、時には顧客の不満につながる可能性もあります。顧客ロイヤルティを意識した上で、LTV最大化の仕組みを検討しましょう。

KPIの設定

カスタマーサクセス活動の達成度合いを計測・把握するために、目標とするKPIを設定します。
カスタマーサクセスでよく利用されるKPIは以下のとおりです。

  • 解約率・・・顧客のうち解約した人の割合(一般的に月次の割合)
  • オンボーディング完了率・・・顧客が操作方法などを習得し実運用が開始された割合
  • アップセル件数(※1)・・・アップセル(顧客単価の向上)に至った件数
  • クロスセル件数(※2)・・・クロスセル(他のサービスの販売)に至った件数

※1 アップセル率の場合もあり
※2 クロスセル率の場合もあり

また、上記だけでなく提供サービスの特性上、ログイン頻度や特定機能に絞った利用率などのKPIを設定する場合もあります。

データ活用方法の策定

カスタマーサクセス活動の状態を判断する財務情報、顧客の状態を判断するサービス利用状況、コミュニケーション状況など、カスタマーサクセス活動を推進するためには、あらゆるデータ活用が重要です。顧客を成功に導くためにも、何をどう管理して可視化すればスムーズに活動の意思決定につながるか検討しましょう。

また、意思決定を行うためのデータ集計・加工に時間がかかると、顧客へのアプローチタイミングを逃す可能性があります。データ活用において、ツールを利用する企業も増えてきました。適したツールは、データ活用の目的によって異なりますので、まずは、データ活用方法を検討した上で、ツール活用も仕組み化の一つとして検討が必要です。

開発部門へのVoC(Voice of Customer)フィードバック体制を仕組み化する

改善、要望など、顧客の声(VoC)は、製品開発に非常に有益な情報です。開発部門へ顧客の声をフィードバックする体制の仕組み化は、開発スピードの向上や、製品、サービスの成長に大きく貢献します。週に一度、あるいは月に一度など定期的に顧客の声を共有する時間を作るところから始めていきましょう。

3. まとめ

この記事では、カスタマーサクセスを仕組み化する際に意識するポイントを解説しました。カスタマーサクセスを仕組み化することができれば、効率的かつ継続的に成果を出すことができるでしょう。この記事を参考にカスタマーサクセスの仕組み化へ取り組んでみてください。

この記事をシェアする