サブスクリプション型のサービスの成功を目指す企業にとって、カスタマーサクセスへ取り組むことは非常に重要です。しかし、カスタマーサクセスは従来のカスタマーサポートなどの概念とは全く異なるアプローチを必要とします。
そこで活用したいのがカスタマーサクセスツールです。このツールを活用することで効率的にカスタマーサクセスに取り組めるようになります。この記事では、ツールの活用がなぜ早期の成功に繋がるのか、機能の紹介も含めて解説します。
1. カスタマーサクセスの主な業務
カスタマーサクセスツールが有用である最も大きな理由は、カスタマーサクセスの業務が多岐に渡るためです。一例として、解約率の減少を目的とした場合にどのような業務が必要になるのかを見てみましょう。
ここでご紹介しているいずれの業務も、カスタマーサクセスツールを活用することで効率化できます。
解約率の算出と把握
解約率は、最低でも月次で定点的に観測する必要があります。状況によっては、顧客全体の解約率だけではなく、契約金額や契約期間の区分別に解約率を確認することも必要になります。算出式は単純なものですが、定常的に行う作業になるため、業務負荷の点でも、ミスを避けるためにもカスタマーサクセスツールで自動算出できるようにしておくことが望ましいでしょう。
解約率と相関性のある要因の特定とアクションプランの策定
取り組むべき重大な課題を特定し、それに対してのアクションプランを策定します。多くの場合、課題は複数存在しますが、早期に活動を軌道に乗せるためには、最も影響が大きなものから解決する必要があります。
ポイントは大きく分けて、2つあります。1つは、担当者の感覚だけではなく、客観的な事実をデータで把握することです。もう1つは、策定したアクションプランの結果を早期に確認し、迅速に軌道修正を図ることです。
月次契約であるサブスクリプション型のサービスにとっては、スピード感のある動きが重要です。
カスタマーサクセスツールでは、さまざまなデータを集計・レポートする機能を有しています。また、製品によってはタスク管理機能もあるため、レポートと合わせて活用することでアクションプランの管理・評価に活用できます。
顧客への能動的な働きかけと効率化
顧客への対応業務も、顧客のステージに応じて多岐に渡ります。
たとえば、導入初期には導入支援として顧客と共にゴールを設定し、オンボーディング完了までサポートすることが求められます。
また、導入後においては、問い合わせへの対応と活用の支援が必要になります。なお、これらはすべてを人の手で行う必要はなく、チャットボットの設置や操作説明の動画の設定など、ツールをうまく利用することでの効率化が可能です。
また、セミナーをオンラインで実施するなど、多くの顧客を一度に対応することで効率化を図ることもできます。カスタマーサクセスツールでは、コミュニケーション履歴まで管理できるものもありますので、顧客別にオンボーディングやサポートの履歴を即座に把握することもできます。
上記は、解約率の減少を目的とした場合の主な業務です。一方、LTVの最大化を目的とする場合などは、更にアップセルやクロスセルへの対応も必要になります。
この場合、アップセルやクロスセルのチャンスがありそうな顧客に対して提案をする必要がありますが、カスタマーサクセスツールによっては、契約データを分析して「優先すべき顧客」を可視化できるものもあります。
このように、カスタマーサクセスツールを活用することで、より効率的に業務を行えるだけでなく、業務品質の向上まで行えるのです。
2. カスタマーサクセスツールの必要性と機能紹介
続いて、カスタマーサクセスツールがなぜ有用なのか、機能を紹介しながら解説します。
データ分析に貢献
現在の活動の成果を確認し、軌道修正を行うにはデータ分析を継続的に行う必要があります。手動で行う場合、特に課題が表面化されていない場合には、他業務よりも優先度が下がりがちです。
しかし、実際は何か課題が潜み始めた場合にはデータ上に変化が出ますので、優先度を落とすべき業務ではありません。カスタマーサクセスツールはさまざまな分析機能が搭載されており、分析業務をサポートします。
顧客データを統合管理することができる
契約情報を含むアカウント情報と利用データなど、多くのデータを一元管理することができます。分析に必要なデータが分散していないので、データ分析が容易かつ精度が高くなります。逆にデータが分散している場合は、1度の分析にかかる手間が大きいため、継続的な分析が難しくなります。
ダッシュボード等でデータを可視化できる
顧客の今の状態をダッシュボードの形式でタイムリーに把握することができます。集計・分析のタイムラグが発生することなく、常に最新の状態を確認することができます。
AIによるデータ分析の簡略化と精度の向上
CustomerCoreでは複数の要素から、AIが顧客ごとに解約可能性を算出します。多くの場合、解約に結びつく要因は1つではなく、そのために手動での分析には時間がかかります。AIを利用することにより、分析の手間が更に削減され、かつ分析精度も高まります。
能動的なアクションを迅速に
サブスクリプション型のサービスでは、顧客はサービスに不満を抱けばいつでもサービスを解約することが可能です。そのため、解約可能性が高まった場合など、即座にアクションを起こせるかどうかが非常に重要です。この迅速な対応のためにも、カスタマーサクセスツールの以下の機能が役立ちます。
ヘルススコア管理
顧客の自社サービス利用における健康度を測る、ヘルススコアと呼ばれる指標を管理できます。カスタマーサクセスツールでは、このヘルススコアやコンタクトの優先順位を自動で算出します。
アラート通知
解約に繋がりやすい状態になり、迅速なアクションが必要な顧客が発生した場合にはアラート通知を出します。アクションを起こすべきタイミングを逃すことがなく、解約を未然に防ぐ確率が高まります。
早期に仕組みを作ることが可能
カスタマーサクセスツールは、カスタマーサクセスに必要な機能を備えています。ツールを利用し、カスタマーサクセスの業務の型を利用して取り組みを行うことで、初めて取り組む企業も仕組みの骨格を作ることができます。また、以下の機能も効率的な業務に有用です。
課題やタスク管理
関係部門との連携
カスタマーサクセス部門だけでなく営業部やカスタマーサポートなど、顧客には複数の部門や関係者が対応します。自社の中では担当が分担されていたとしても、顧客にとっては同一企業とのコミュニケーションになります。
そのため、ある担当者に説明したことを再度説明する必要が生じた、対応をたらいまわしにされた、などは印象を悪くする恐れがあります。
そこで、以下の機能が役立ちます。
コミュニケーション履歴の共有
他部門とのやり取りも含めて、顧客とのコミュニケション履歴をタイムラインで共有できます。このため、他の担当者がどのようなコミュニケーションを行ったかを漏れなく把握できるようになります。
カスタマーサクセスを成功させるには、複数の部門の協力と理解が必要です。その協力や理解を得るためにも、カスタマーサクセスツールをうまく活用することが重要です。
3. まとめ
カスタマーサクセスを成功させるには、データを活用しながら複数の業務を継続的に実施する必要があります。特に、データの活用による優先順位の検討と顧客の変化のタイミングを逃さないことが非常に重要であり、カスタマーサクセスを成功に繋げている国内外の多くの企業ではカスタマーサクセスツールを利用してデータをうまく活用しています。
また、カスタマーサクセスは、必要な業務の範囲が広く、かつスピード感も重要です。そのため、カスタマーサクセスツールの活用は業務の効率化にも繋がります。
さらに、ツールの活用によって他部門との連携やタスク管理などの効率化も図ることができます。ぜひ、自社の状況を整理した上で、カスタマーサクセスツールの導入と活用も検討してみてください。