カスタマーサクセスの大変さ 取り組みにおける課題とその解決策を紹介

あらゆるビジネスのサブスクリプション化が進行していることで、日本でもカスタマーサクセスの概念が広がり、取り組みを始める企業が増えています。

一方で、カスタマーサクセスの難しさや大変さに苦労している方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、カスタマーサクセスの難しさや大変さに焦点を当て、どのような対策を行えば課題を解決できるのかについて解説します。

カスタマーサクセスの大変さと難しさ

カスタマーサクセスの難しさはどのようなところにあるのでしょうか。
日本企業におけるカスタマーサクセスの難易度を高くしている原因として、以下の要素が挙げられます。

  • 新しい取り組みであることから人的・予算的リソースの確保が難しい
  • 顧客の多様なサービス利用方法への対応など、業務効率が上げにくい
  • カスタマーサクセスの取り組みが属人的となってしまい、スケールさせにくい
  • 企業内においてカスタマーサクセスの文化が根付いていない

以下では、それぞれの課題の詳細と、具体的な対策について紹介します。

カスタマーサクセスの課題と対策①:人的リソースが不十分

課題:カスタマーサクセスの活動を進めるための十分な人員がいない

カスタマーサクセスの取り組みは、日本においてまだ始まったばかりです。そのため、組織が小規模だったり、他の業務を抱えたまま兼任したりすることも少なくありません。リソース不足により、顧客に対して十分なアプローチができない状況にある企業も多いようです。

対策:データやツールを活用し重要度に応じてスケール可能なアプローチ方法を選択する

リソース不足の状況でも成果を上げるためには、テクノロジーの力を使ってスケーラブルな取り組みを行うべきです。

カスタマーサクセスにおいて、データの活用が重要視される理由のひとつがここにあります。利用データの推移や変化を観測することで、リソースをかけるべき顧客を抽出し、重点的な対応を行います。

特にSaaSビジネスにおいては、急成長に耐えられるスケーラビリティが最重要です。プロダクトだけでなく、運用面・顧客サポート面などと合わせて、カスタマーサクセスの取り組みもスケーラビリティを高める必要があるでしょう。

カスタマーサクセスの課題と対策②:非効率な業務

課題:業務効率が悪く、手が行き届かない

人的リソースの問題と関連して、そもそも業務効率が悪く、十分な対応ができないという課題もあります。SaaSビジネスをはじめとした急進性の高いビジネスモデルにおいては、事業成長に伴って業務が煩雑化し、品質の低下につながるケースも少なくありません。

上述の通り、カスタマーサクセスも事業成長に合わせてスケールできる業務とするべきです。一方で、特にSaaSビジネスにおいては、顧客ごとに利用形態や利用方法が異なる場合も多いでしょう。このようなケースにおいて、業務を標準化することは簡単ではありません。

対策:顧客の「自助」「互助」を意識した業務設計

カスタマーサクセスにおいて、担当者が1:1で対応できるコミュニケーションリソースには限りがあります。そこで、顧客の「自助」「互助」を意識した業務設計により、業務のスケーラビリティを確保していくことがひとつの対策になります。

例えば、アダプションの段階において個別にユーザー対応を行っていると、カスタマーサクセスとサポートのいずれにせよ、リソースがいくらあっても足りなくなります。サービスへの習熟のため、ユーザーコミュニティやFAQサポート、ヘルプサイトなどの設置によって、自然に自己対応を促す仕組みも検討すべきでしょう。

この際、カスタマーサクセスは「自助」や「互助」の基盤を作るとともに、その活動を盛り上げる動きに注力します。セルフサービス対応の充実は、顧客の多様なサービス利用方法をカバーできるメリットもあります。

カスタマーサクセスの課題と対策③:担当者の勘や経験に依存

課題:業務が個人の力量にゆだねられている

カスタマーサクセスは新しい取り組みであることから、業務の進め方が固まっていない企業が多く見られます。顧客へ接触するタイミングや、その際のフォロー内容などが、個人の感覚に依存しているケースも多いのではないでしょうか。
このような状況では、カスタマーサクセスの取り組みが、いわゆるスタープレイヤーに依存しやすくなります。個人依存から脱却し、組織として活動できるように移行していかなければなりません。

対策:プレイブックの作成と改善

海外の企業では、営業やカスタマーサクセスの取り組みをテンプレート化した「プレイブック」を作成し、全体の質を高める取り組みが一般的です。プレイブックの作成は、組織としてのパフォーマンス向上に役立ちます。

カスタマーサクセスにおいては、自社のスタープレイヤーの経験などをもとに、顧客に「いつ」「何を」「どのように」支援すれば顧客の成功につながるかをプレイブックとして整理し、共有する取り組みが有効といえるでしょう。

一方で、上述の通りSaaSビジネスにおける顧客の多様性を考慮すると、標準化が難しいことも事実です。そこで検討したいのが、データによるアプローチです。
データを活用し、顧客の特性を把握します。自社の主要な顧客層やロイヤルカスタマー化したい顧客層などをターゲットとして絞り込んだうえで、プレイブックを作成することも検討できるでしょう。

カスタマーサクセスの課題と対策④:企業文化の転換

課題:カスタマーサクセス部門でのみ取り組みが行われ、成果が上がりくい

カスタマーサクセスの取り組みでは、担当部署を設置して活動を行うことも重要ですが、本質的にはプロダクトの品質向上、カスタマーサポートでのエフォートレスな対応、営業部門の適切なタイミングでのアプローチなど、全社的な活動が必要です。

しかしながら、担当部署を設置するだけでカスタマーサクセスが進むという認識のもと、全社的な取り組みに踏み込めていない企業も多いのではないでしょうか。

対策:カスタマー中心の企業文化へと転換する

カスタマーサクセスの取り組みを成功させるためには、カスタマーサクセス部門だけではなく、全社的に顧客中心の企業文化への転換を図っていく必要があります。顧客のニーズや感情を第一に考える、いわゆるカスタマーセントリック(顧客中心主義)な企業を目指すことが重要です。

このような取り組みは、現場レベルでは限界があります。社長や経営層がカスタマーサクセスを理解し、時間をかけて推進していくべきでしょう。カスタマーサクセス部門からは、上層部へ成果と共にカスタマーサクセスの全社的な取り組みの重要性についてインプットしていく活動が必要です。

まとめ

この記事では、カスタマーサクセスの難しさや大変さについて、よくある課題と解決策を整理しました。日本においては、カスタマーサクセスの概念は普及段階といえます。
そのため、リソース不足や属人化の問題により、期待した成果を得られていない企業も少なくありません。

カスタマーサクセスの取り組みは、プロダクト開発部門・営業部門・マーケティング部門・カスタマーサポート部門など全社的な取り組みが重要です。最終的には、カスタマーセントリックな企業を目指すことで、カスタマーサクセスの取り組みをより効果的に進められるでしょう。

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